暇半桃花鳥’S LOKA!

露悪趣味で見栄っ張り

東京マグニチュード8.0

ずっと毛嫌いしていた、東京マグニチュード8.0を視聴。ED曲はヒトカラでうたったりするのだけれども、アニメ本体を見たことはなかった。ありがちなお涕頂戴な気がして、避けていた。ただ、「主題歌が気に入った作品は本体も面白い」という経験則を重視してみることにした。そういや、OPも知ってた。こういうのはYouTubeのアニソンメドレーの功だとかんじる。

 

一話。

21の世紀病mal du siècle患者ともいえそうな、あるしゅステロタイプな思春期の少女の家族関係と平常を描く。

退屈な日常、綿亙する俗累、垂らす範のない大人たち。世界は小学校の先生がいうような清潔ではない。そんな確信をおもむろに懐きつつある、いらだちの中一。そんな毎日の無聊をなぐさめるかのように、携帯に文字を打つ。

 

ときは夏休み目前、母親の誕生日。小野沢未来は両親どうしのいさかいに声を荒げる。彼女の苛立ちの声音によって、弟の小野沢悠貴は、母親にプレゼントをしようとしていた絵を渡しそびれる。

姉弟の部屋で、弟が未遂になってしまった贈答のうらみつらみをぶつけていると、一枚の写真を姉の机上に発る。それは、幼少の時分、母父姉弟の家族4人で撮影した橋梁をバックにした写真であった(レインボーブリッジ?わからんちん)。

あくるひ、お台場にいくことを母親に提案する。弟はその橋の見られる電車を使った経路であった。弟の胸中は、お台場のロボット展にいくこと、そこで母親のプレゼントを買うことであった。提案は忙しいと断られ、姉と行ってくれないかと言い渡す。

不承不承に弟とお台場に行くことに決めた姉。電車から橋が見えたときは、何かを思い出したようでもあった。

会場に行く途中で、バイクにまたがりながら、缶飲料を飲む姉御的な大人にであう。これからの鑰人物であることを感ずかせるような演出。

会場では、うまくいかない日常のつづきである。

弟に渡されたタチコマらいくなロボットの操縦リモコンでロボットを動かす姉の未来。成熟と未熟とを振揺するアドレサンスのうち、子供的な側面が前景にでてきたかのように、欣然としてロボットを縦横無尽に動かす。忽然、「早くかわれ」といわれてしまう。自らの子供っぽさを見られた羞恥からか、ふてくされたような態度になる姉。姉の未来は言う「親がいないことで周囲に舐められている」と。なぜ、母が弟に付き合わなかったのか、忙しい忙しいそればかりではないか。

そんなこんなの会場シーンが終わり、土産物コーナーで物色する姉弟。そこで、先のバイク缶飲料お姉さん日下部真理と再び出会う。日下部真理が祖母に買うためにもっていた花の……髪飾り?だったかな、を購入する機会を譲ってもらう二人。姉は子ども扱いされたことが不満だったが、弟はすなおに感謝する。ここらへんは、年齢の上下による精神的な相違がよくつたわる。

買う機会を譲ってもらったアクセサリをもつ描写ののち、弟がトイレに行きたいという。姉は、それを了解し、ついでに飲料の購入を命じ、ビルの外に出る。

ビルの自動ドアを出ると感じる赫灼たる太陽に熱される空気。その熟れにおもわず竦む姉の未来に、後ろから小児がソフトクリームをもって臀部に衝突する。「いきなり立ち止まるな」とだけ言う小児の両親。そして、よごれたスカート。この亨通ならざる出来事に彼女は、こう、託って携帯にイライラをぶつける。

「いっそのこと、こんな世界壊れちゃえばいいのに」。

画面に文字を入力する細行。

卒然、轟く鳴動。激震のお台場。

 

これが表題の、都市直下超巨大地震マグニチュード8.0」であった。

 


二話。

姉の未来の「いっそのこと、こんな世界壊れちゃえばいいのに」の一言からはじまる。

撓むレインボーブリッジ。崩落する歩道橋。炸裂するアスファルト。マンホールから直上に澎湃する泥水。

姉はトイレに行ったままの弟ことをまっさきに案じ、建物から非難する人々に逆行して、棟内に進行することを決心する。

亮然と未熟さがつたわる男性の「ぼけっとつったてんじゃねえよ」に震災のリアルをかんじられる。

地図を頼りにトイレを目指す姉の未来だが、厠にはだれもいない。

さらに崩れかかるビルの深奥に進行するさなか、余震が襲う。落下する瓦礫が迫撃するすんでのところで、缶飲料お姉さん日下部真理に救われる。日下部真理と未来の二人で裂罅だらけのビルをさらに奥へと目指す。

向う見ずに驀進する未来。また、ギリギリのところで日下部真理にすくわれる。日下部がいった言葉に弟がけがをしているという含意を受け取った未来は、さらなる焦燥感にかられながら、倒壊しそうなビルの中を突っ走る。

日下部に抱擁され、向う見ずな暴走をやめる未来。「ごめん、わたしの言い方が悪かった。弟くんは大丈夫。わたしも一緒に探す、だから無茶はしないで」という日下部の一言が肺腑に入ったようだった。

ふと、別れ際のやりとりを思い出す未来。「ついでに飲み物を買ってきて」。そうだ、売店が。

売店を覗く未来。男児の声「だれかいるんですか?」。

「お姉ちゃんなの?」「ゆうき!?」。

その声は、嘱望していた弟の小野沢悠貴のものだった。

このあたりの、姉の一人で行かせてしまった責任感と、姉だけでも確実に守ろうとする日下部の心情のすり合わせは、こういった災害物にはありがちだけど、うまい。

ちなみに、小野沢家は、成城のほう、砧公園の近所、日下部は三茶に住んでいるらしい。ほえ~、懐かしい響き。

「何故親切にしてくれたのか」と尋ねる姉の未来。日下部は「人として?」と答える。これまでの大人とは違うのかもしれない、いやどうせこのひとも……大人への期待と諦観が入り混じる未来。バイクに何かを取りに行った日下部に「あの人もう戻ってこないかもね」、「あの人がうちらの面倒見る義理なんてないし」と未来は言う。

余震が襲う姉弟のもとへ日下部は、未来の期待と諦観の言葉とは逆に箱を持って帰ってきた。

箱の中は、「HAPPYBIRTHDAYひな」というプレートがのったケーキだった。日下部が娘のために買ったケーキである。それを三人で食べるために日下部はバイクにもどっていたのだ。帰ってきた日下部に、日下部という大人への信頼をみせ、未来の緊張がやわらぐ。

一話ででてきた丸くないケーキと比較して(当記事では言及していない)「誕生日のケーキはちゃんと丸いのがいいです」と未来はいった。

 

「これからどうしたらいいんだろう」「ひとまず、いまはやすみましょう。きっとあしたたも忙しくなるわ」。

♪見えない明日怖がったり……

 「連絡橋が崩落、被害者多数の模様です。」

 


三話。